初恋町〜また、君に恋をする〜
それもそうだ。
もう六年もたったんだもんね…。
でも思いは、あの頃とは変わってはいない。
あの時は幼くて、ただ純粋に、ずっと好きで居られると思ってた。
でもいつのまにか、たった一つの繋がり、“指輪”まで無くしてしまい、私は思いを閉ざすことを決めた。
でも、できなかった。
忘れるために、何度も違う人に恋をした。
でも、ホントの恋をすることが出来ずに忘れられないままで居た。
あの人は、どうなんだろう…。
まだ私を思ってる?
「なんて、そんなわけないか」
信じるなんて簡単なことだけど、もう会えるか分からない人のことを思い続けるなんて、これ以上馬鹿なことはない。
でも…会えるんだ。
彼は知らないけど、引っ越し先はあの町。
でも、決めたんだ。
彼の迷惑にはなりたくないから、普通に友達として、接することを。
思いを、胸に閉まって…。
“俺のお嫁さんになってください”
ふと、頭をよぎった台詞。
そうだ、私達、結婚の約束したんだったなあ。
あの頃は可愛かったなあ。何て自分で言うのもおかしいけど、あの時は純粋だった。
今も、純粋なままでいられてる?
「夏ーっ!もうすぐ行くわよ〜っ?」
「はーい。今行くー!」
指に、白と黒の指輪をはめて、今、この町とさよならし、初めて恋をした町に、旅立つんだ。
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