初恋町〜また、君に恋をする〜
あの人の言葉を胸に、部屋の整理をし、新しい制服を取り出す。
これから三年間、この制服を着るんだと思うと、胸がわくわくした。
白のブラウスに、赤いリボン、赤チェックのスカートに、紺色のブレザー。
すべてが新鮮だった。
この町は狭いため、高校は一つしかない。
そのためほとんどこの町の子供は、そこに進学する。夢がある子や、頭が良い子だけ、町を出て都会に出ていく。
だからほとんど生徒らはもう既に知り合いで、私のようにいきなり入ってくる人は居ないに等しいのだ。
だから私は不安だった。
いきなりの土地ではないにしろ、知らない世界に一人で飛び込むようなものだ。
だけど反対に期待もあった。
小学校のときの親友や、初恋の人“蓮”に会えるかもしれないからだ。
知らない世界。
新しい真っ白なキャンバスに自分だけの絵を描けるチャンスだ。
このチャンスをものにして、必ず後悔しないよう、高校生活を送ろう。
明日は入学式。
期待と不安を胸に、私は眠りについた。
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