かけがえのないキミへ
キミの笑顔を見たいけれど──…
『屋上、行かね?』
世界史の授業が終わり、俺と竜也は屋上に向かった。
さっきの話をするために。
屋上にはあまり人はいなかった。三年生のたまり場になっているせいで、一、二年生はほとんどいない。
だが今日、三年生の姿も見られない。
暑いからかな?
俺たちは日陰に腰を下ろす。
そして竜也が突然口を開いた。
『知ってんの?』
『知ってるっていうか、昨日のお前と綾音ちゃんの行動見てれば分かるし』
本当は昨日の前から知っていたけど、変な不信感を竜也に思わせないように嘘をついた。
『行動?』
『あぁ。お前と綾音ちゃん、メールで会話してただろ?』
こう言えば文句はないだろ?
『あ!そっか!!』
案の定、竜也は納得していた。
『ばーか』
『今日は楽しみだな!』
竜也の笑顔をみた瞬間、また胸が苦しくなる…
人間は…
とても嫉妬深い──……