かけがえのないキミへ
梨花の声など筒抜けで、綾音の笑顔が俺を縛り付けていて…
助けて…ください。
『怜?』
『え…あ、なんだっけ?』
梨花が俺の手を揺らしたせいで、俺は綾音から視線を梨花にずらさるをおえなかった。
『竜也と綾音ちゃん、なんかお似合いだね!竜也優しいからさ』
俺は苦笑いをして、首を縦に振るしかなかった。
そして映画館に着き、なにを観るかを決める。
竜也と梨花は恋愛系の映画を選んだ。
綾音も頷き、俺も頷いた。
ジュースやポップコーンなどを買って席に座る。席は真ん中の席で、平日のせいなのか、比較的空いていた。
竜也が先頭に行き、そのあとを綾音、次が俺、梨花という順で座ることとなった。
…待ってよ。
綾音が隣?
しかも…距離が近いよ。
急に激しく動きだす心臓。
綾音がこんなに近くにいる。
俺の中を、掻き乱していく──……