かけがえのないキミへ


スクリーンにはCMが流れている。
まだ、映画館は暗くはない。
足元や手元がはっきり、とまではいかないが、見える。
俺の左側には、綾音のジュース、そして綾音、本人がいる。

左側ばかり気になって、左手ばかり汗をかいていて。
『なんで映画にしよう』と言ったのだろうと、自分を責めていた。

俺の右側には梨花がいて、キャラメルポップコーンを食べていた。


俺は気を紛らわすため、梨花からキャラメルポップコーンを奪った。


『俺にも食わせろ!あんま食うと太るぞ!』


こう言ってキャラメルポップコーンを掴み取り口の中にいれた。


『え~!ポップコーン美味しいんだもん!』


梨花は俺からポップコーンを奪おうとするが俺は簡単に渡したりしなかった。


『喧嘩すんなよ!』


竜也が俺たちを注意する。
最低。俺ってやっぱり最低だよな?


馬鹿みてぇ。



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