かけがえのないキミへ


でもそんなこと言えるわけないだろ?


『んなわけねぇだろ?』

『本当に?本当に?』


梨花は何度も何度俺に聞いてくる。
正直鬱陶しいですけど?

周りの人から見られるし、こんなとこで喧嘩などしたくない。



『じゃあ梨花のこと好き?』


最悪な質問。
本当のこと言えないだろ。
だってお前の目、輝いているしさ。


『…だから~…』


言葉に詰まる俺。


すると梨花が俺のネクタイを引っ張り、顔を傾けた。



なんだろう?この感触。柔らかくて…あったかい。


俺の唇になにかが重なっている。
そう、梨花の唇だった。俺は目が点になり、梨花から唇を離すことが出来なかった。


俺、今梨花とキスしてる?

梨花を見下ろすと、ちゃんと目を閉じている。

唇を離しては、もう一度唇を重ねる梨花。


拒めなかった。
体が硬直していて…


そんな中、俺は目が合ってしまったんだ…



< 130 / 370 >

この作品をシェア

pagetop