かけがえのないキミへ
今日は月がぽつんと浮かぶだけで、星など、月を演出するものなど輝いていなかった。
俺たちは夕飯を食べるため、近くのファミレスへと足を進める。
窓側の四人掛けのテーブルへと案内された俺たち。
隣は梨花で、前は綾音。なんで前が竜也じゃないわけ?
こんな不満さえ言えないでいる。
いや、不満じゃないよ。むしろ嬉しいけど、喜べない自分がいる。
あの綾音の顔が脳裏に焼き付いていた。
『あたしこれ!』
『俺はこれだな!怜とあやちゃんは?』
俺は梨花からメニューをもらい、食べたいものを選ぶ。
『やっぱこれかな?』と思い、メニューを指差した。
俺が選んだものはエビドリア。
『あやちゃんと同じかよ!』
竜也はこう言って笑っていた。
綾音もちょうどその頃、俺と一緒のエビドリアを指差していた。
どくん、と弾む心臓。
綾音はどこまで俺をいじめるの?