かけがえのないキミへ


俺をいじめているのは綾音じゃない。
この世界だ。
どうせ俺をいじめて暇を潰しているんだろ?



…ちょっと経ってから、俺たちが注目した料理が運ばれてきた。
梨花はパスタ。
竜也はオムライス。
俺と綾音はエビドリア。

テーブルに並ぶ熱々の料理。

綾音を見ると、息でふぅーっと冷ましてからエビドリアを一口食べた。

その行動が可愛くて、ついつい見とれてしまう。

竜也や梨花に気づかれないように、俺は綾音を見つめていた。


心臓はまだどくん、どくんと暴れていて、俺はそいつをほっとくしか出来なかった。
綾音が前にいる限り、治まらないのだから。



竜也と梨花は映画の話で盛り上がっている。
俺はそいつらの隙を見て、綾音に話しかけた。



『楽しかった?今日』


笑顔を作り、綾音に質問をする。
綾音はスプーンを持つ手を一旦置き、カバンの中から携帯を出した。



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