かけがえのないキミへ
自分で自分を誉めてみた。
なんか惨めになる気がする。
『今から行くから待ってろ』
俺はこう言って電話を切った。
そして竜也の家を目指す。
竜也の家は学校からとても近い。
だから俺は学校へ行く道を通って竜也の家に向かった。
夜道で暗いせいか、人影が見えない。
いや、人がいないのも理由のひとつかな。
しばらくして竜也の家が見えてきた。
グレーの塗装の洋風の家。入り口の表札には、可愛らしく飾ったプレートに、両親の名前と竜也の名前、そして兄の名前が書かれていた。
俺はインターホンを一回だけ押し、竜也が出てくるのを待った。
『怜じゃん。竜也が上がってこいって』
玄関から出てきたのは、竜也の兄、遊也《ゆうや》くんだった。
『は?まじ?あいつ意味わかんねぇ』
俺は三段ぐらいある階段を上って、竜也の家の中に入った。