かけがえのないキミへ
『あいつ帰ってきてからすげぇテンション低かったぞ』
遊也くんは弟の不幸を喜ぶかのように、笑いながら言った。
そして俺は靴を脱いで、竜也の部屋がある二階へ上って行った。
二階へ着くと、電気がついていないせいか、真っ暗で不気味だった。
竜也の部屋は階段を上って、右の突き当たり。
もう何度も来ているから暗くても分かる。
トントン、とノックをしても中から竜也の声は聞こえなかった。
『竜也、入るな』
ドアノブに手を掛け、ドアを開けた。
部屋の中も同様、薄暗かった。
ベッドの上が膨れ上がっており、すぐに竜也を見つけることが出来た。
『おい、竜也』
布団を捲り上げ、竜也がいるのを確認する。
案の定、竜也はここにいた。小さく体を丸めて。
電気をつけて、俺は床に腰を下ろした。
『なんかあったか?』
『…俺…』
『あ?』