かけがえのないキミへ
竜也の声は電話のときと同じで、テンションが低いまま。
顔を枕に押し潰して、声が籠もっているように聞こえた。
『なんだよ?』
俺は壁一面に貼ってあるサッカー選手のポスターを見ながら、竜也に聞く。
『あー!!どうしよー!!』
するといきなり竜也が起き上がり、頭を抱えて叫びだした。
そんな竜也に戸惑う俺。
『な、なに?』
『怜!!俺…あやちゃんに…』
綾音の話…?
緊張感が走る─…
俺はごくんと息を飲み込み、竜也の次の言葉を待った。
『俺…あやちゃんにキス拒まれた!!』
顔をぐしゃぐしゃにして言う竜也。
何故か俺はホッとしていた。キスでもしたって言ったなら、俺は砕け散っていたから…
『あ…あ~…それは…』
視線を逸らす俺。
竜也が可哀想に見えて。だけど心の中では喜んでいる自分がいて。
最低だな。