かけがえのないキミへ



竜也は再び、枕に顔を当てて、嘆いていた。
そんな悔しかったの?
俺は必死になって、励ます言葉を選んでいた。


『ま、次があんだろ。次にしろ、次に』


こんなことなんか思ってないのに、口から飛び出してしまった言葉。


『う…ん…でもすげぇショックなんだけど…』


俺は竜也が綾音にキスしようとしてたことがショックだよ。
竜也には綾音の唇を奪わせねぇ。

諦めようとしても、無理だとこの時悟った。


『まぁ次頑張るわ!!怜、ゲームしようぜ!!』


『お前立ち直り早すぎ』

竜也の姿を見て鼻で笑う俺。

着々と時は進む。
明日はもうすぐそこで…俺はすっかり忘れていた。


明日─…俺の妹がやってくる。


『負けねぇからな!』


『は?俺竜也になんか負けねぇし』


ゲームに夢中の二人。

俺はもう一つ忘れていた。


人間は─…嫉妬深い哺乳類ってことを。



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