かけがえのないキミへ


俺は竜也からスエットを借り、制服を着替えた。そして竜也のお気に入りのサッカーゲームをしながら盛り上がった。
深夜にも関わらず、騒ぎまくっていた。

『うるさい』と、何回遊也くんに怒られたっけ。
ゲームが終わると俺たちは床に寝そべり、恋について語りだした。


『怜は安田のどこに惚れたの?』


突然、竜也が驚くようなことを俺に問う。
俺は突然すぎて戸惑いを隠せないでいた。


『いきなりなんだよ…
別にどこだっていいだろ?』


こう言って竜也に背中を向けた。
だって答えられないから。
どこが好き?って聞かれたら、顔?性格?体?と迷ってしまう。
実際、梨花を好きなところなんて一つもない。
これが正直な答え。


『じゃあ、竜也は綾音…ちゃんのどこに惚れた?』


『んー…守ってあげたいって思ったんだ…』


静かに綾音に惚れた理由を言った竜也。
俺と正反対だ。



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