かけがえのないキミへ
~7.罪の意識~
俺はこの時期が一番嫌いだ。
そう、梅雨が明け、快晴が続く時期。
晴れは好きだが、暑いのは嫌いだ。
もう夏が目前まで来ていた。
どうりで空には入道雲が広がっているわけだ。
『ん─…』
俺は大きく背伸びをしながら、体を起こした。
頭を掻きながら寝室を出ると、トーストの香ばしい匂いが広がっている。
『…綾音、おはよ…』
朝、一番最初に目に入ってくるものは、キッチンで朝ご飯の支度をする綾音の姿だ。
可愛らしいエプロンを着て、俺のために朝食を作ってくれている。
綾音と生活を始めて1ヶ月と少し。
だいぶこの生活にも慣れた。
隣には綾音がいるのが当たり前になっていた。
だけど、進展はない。
なぜならば、綾音の隣には竜也がいるから。
『俺、顔洗ってくる』
こう言ってリビングを後にしようとし、ふとホワイトボードを見ると、昨日の会話が蘇ってくる。