かけがえのないキミへ
『怜!ちょっと来て!』
突然、廊下から呼ばれた。そこには梨花《りか》がいた。
梨花という子は、学年一可愛いと言われている女の子。
白い肌で小顔、大きな瞳。いつもはウェーブがかかっている髪の毛だが、今日は2つに結んでいた。
『何?』
『今日買い物付き合って?』
断る理由なんてなかった。梨花も俺の彼女の一人だから。
『いいよ、帰りに迎えにきて』
『やったぁ!じゃあまた来るね』
梨花は俺に手を振って、自分の教室に戻って行った。
『相変わらずモテモテだな、怜は』
竜也はメンズ雑誌を見ながら、俺に言ってきた。
『別に?』
梨花に、ずっと前に告白をされた。
だけどその返事は返していない。
よく遊ぶようになって、周りからは《そういう風》という目で見られる。
俺は梨花のこと、
好きじゃない。