かけがえのないキミへ
梨花を見下ろして頭を撫でた。
『じゃーな』
『うん…』
梨花はまだ俺と離れたくないのか分からないが、とても寂しそうな表情を見せる。
だけど俺は梨花に背中を見せて、部屋から出て行った。
階段を下りていくと、下にはショコラが俺を待っていた。
相変わらずこいつは元気で、俺にじゃれてくる。
俺はショコラにもご主人同様、頭を撫でてあげて梨花の家から出て行った。
足早に道を進む。
綾音がいるかもと、可能性が低いことを願って。
俺の背中を太陽の光で熱くする。
早く、早く─…
いつもより早くマンションに着いた。
そして自分の部屋へ行く。
鍵穴に鍵を挿して、息を乱しながら部屋へと入って行った。
廊下には電気がついていて、さらに奥のリビングに行くと、誰も見当たらなかった。