かけがえのないキミへ


脳裏に梨花が言った言葉が離れないでいた。
梨花が言った言葉を声に出して言う俺。


『離さないで…か…』


シャワーから出るお湯は、俺の体を濡らす。
俺は下を向いたままその言葉の答えを探していた。
答えはもう出ているのに俺は何回も何回も、その答えを求める。
不安でたまらないんだ。この答えが間違っているのか、合っているのか。
誰か正解か不正解か、教えてよ─…



濡れた体のまま、俺は風呂場から出た。
体をよく拭いて、洗濯機の上に置いてあったスエットを着る。
綾音の前では裸を見せられないしさ。
この前怒られたし…


風呂場を出て、リビングに行くと、俺がかぶせたタオルケットを畳んでいる綾音の姿があった。



『あ…綾音、起きたんだ…』


頭の中を今朝の俺の行動が横切っていく。
綾音に、キスしたんだよな、頬にだけど。
そして、『好き』って言ったんだよね…



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