かけがえのないキミへ
綾音は眠っていたから気付いていないだろうけど。
すると綾音が俺をじっと見つめ、口を動かした。
『…あ…り…がと?』
綾音が口ぱくで言った言葉は、『ありがとう』だった。
こう言って綾音は笑顔になる。
やっぱりキミの笑顔が大好きだよ。
綾音は風呂場の方に指差して、俺の横を通って行った。
昨日お風呂に入らず俺の帰りを待っていたのかもしれない。
制服姿のままだから。
『綾音!!昨日…俺の帰り、待っててくれたの?』
俺が聞くと綾音はゆっくりと振り返って、深く頷いた。
この時、俺は昨日の行動に後悔をする。
綾音が俺を待っていた時、肝心な俺は梨花を犯していた。
バカだろ?
後悔しても、今更遅すぎる。
『ごめんな…綾音…。これからはちゃんと帰るから…』
綾音は笑顔で首を横に振って、風呂場へと入っていった。
『いいの』
きっとこう綾音は言いたかったのだろう。