かけがえのないキミへ


なにしてんだよ、俺。
フローリングの床に視線を落として、自分を悔やんだ。


『ったく…なにしてんだよ、俺…』


自分で自分を怒る。
これからはちゃんと帰る。
梨花と夜遅くまでいないようにする。


ふと視線を透明なテーブルに移すと、寂しそうに並べられた料理たちが俺を見ていた。



…学校へ行く時間が刻々と近付いてくる。
綾音も風呂から上がり、制服も着て準備万端のようだ。
それに比べて俺は、未だにスエット姿。
だらだらとしていたら、こんな時間になっていた。

綾音が昨日作った料理を、朝から残さず全て食べていたら、時間がかかってしまったようだ。


『綾音、美味しかったよ』


綾音は最近また料理の腕を上げたようだ。
俺はそのせいで、少し太った気がする。
元々華奢な体だった俺は、綾音のおかげで丁度良くなった。


綾音は俺に背を向けて片付けをしている。


俺に背中を向けないで…


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