かけがえのないキミへ


さっき『行ってらっしゃい』と見送ったばかりなのに、もう会いたいと思ってしまう。


早く時間が過ぎればいいのに…

俺は立ち上がり、自分の寝室へと向かった。
部屋の真ん中を占領しているベッドに思い切り飛び込んだ。
揺れるベッド。
俺の体までも揺らす。


『…学校めんどくさ…』


瞳を閉じて、夢の中に入りそうだった頃、どこからか、歌声が聴こえてきた。


俺は気にも止めずに、再び夢へと入ろうとしても、その歌声が阻止する。
その歌声は何度も何度も同じ歌を繰り返す。


『…うるさいな…』


仕方なく起き上がり、
歌声が聴こえる方に歩いていく。
聴こえてくる場所は、綾音の部屋からだった。

ドアを開けると、先程より大きな音となる。
ピカピカとランプを放ちながら、置き去りにされている携帯電話。


歌声は携帯から聴こえてくる。



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