かけがえのないキミへ


風呂場に置き放しだった制服のズボンを取ってきてそれを履いた。
慌てているせいか、早く準備が出来ない。


『あーくそっ…』


ベルトをしたら完成だ。財布しか入っていないカバンを持って、部屋を飛び出した。
手には綾音の携帯をぎゅっと握ったまま。

今日も外は快晴だ。
蒸し風呂のように暑い。だけど俺は走る。
綾音のあとを追って。

金色に近い髪の毛を靡かせながら、俺は目指す。綾音のところへと。


だけど高校の場所が分からない。
前に一度行ったことあるが、記憶が曖昧だ。
俺は過去を振り返って、場所を導いていく。


『えっと…えっと…』


だがなかなか思い出されない。
とりあえず駅へと行くことにした。
駅は静かすぎるくらい人がいなくて、気持ちよさそうに、緑色の葉っぱたちかゆらゆらと揺れていた。



『どっちだっけ?』


駅についた途端、俺はまた迷ってしまう。



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