かけがえのないキミへ
しばらくその黄身とにらめっこして、卵の殻を、生ゴミのところへと投げ捨てた。
いつも綾音は俺のために朝ご飯を作ってくれて…大変さがようやく今伝わってきた。
流しに手を掛けて、唇を噛み締めた。
ありがとうって言わなきゃ…
すると横から綺麗な手がすっと伸びてきた。
横を見ると、パジャマ姿の綾音がいた。
『綾音…』
綾音はにっこりと笑って、二つの卵を、箸で混ぜ合わせた。
《大丈夫。任せて?》
綾音はこう口を動かした。
情けない、全く。
俺は『ごめんね』と言って、おとなしくソファーに座って、朝食が出来るのを待った。
テレビをつけると、芸能人の破局や、結婚などという報道が流れている。
俺はこういうニュースを見ると、必ず思うんだ。
人の恋愛なのだから、
そんなに騒がなくてもいいのに。 って。
自由にさせてあげればいいのに─…