かけがえのないキミへ
遥斗さんの細長い指に、とても似合っていて、それと同時に『彼女いるんだ』と思った。
『彼女、いるんですか?当たり前ですよね、かっこいいから…』
ブランコの鎖をぎゅっと握って、地面に視線を落とした。
『諦めなかったから、今の彼女と付き合うことが出来たんだ。今、そいつと大空を飛んでいるんだ…』
諦めなかったから、今がある。
だから、今、その人と一緒に過ごせるんだ。
遥斗さんの言葉には、こんな言葉が込められていた。
『俺の友達の話してあげようか?そいつすげぇんだ』
俺は遥斗さんの方に視線をずらして、首を縦に振った。
『そいつさ、響っていうんだけど、高校生のとき先生と付き合ってたんだ。二人はすげぇ愛し合ってたんだけど…先生が突然別れを告げたんだ』
淡々と、遥斗さんは友達の話をしていく。
この話を全て聞いたあと、運命は本当にあるのだと思った。