かけがえのないキミへ
俺にはきっと言えないだろう。
待ってるなんて。
また再会出来るなんて証拠などないから。
気持ちのよい風がブランコを揺らす。
俺はそんな風を体で受け止めていた。
『再会…出来たんですか?』
『今、そいつ先生になってさ、そこで再会したんだ。先生も響のこと忘れられなかったみたいで、二人の想いが繋がったって聞いた。運命ってやっぱりあるんだよな。何年後にばったり会って、またスタートして…』
その話を聞いた俺は、苦しくなった。
繋がって良かった、と素直に思った。
運命…あるのかな…
俺にも運命があるのかな。
まだ半信半疑で、信じられない。
だけどあるのだろう。
遥斗さんが言うのだから。
『俺は今の彼女とずっと過ごしてく。未来が続く限りな』
遥斗さんは思い切りブランコを漕いで、大きくジャンプをした。
空に近づいた遥斗さんが、鳥になったように見えた。