かけがえのないキミへ
でも何故か落ち着くんだ。
俺の同じ心と色をしているからかな。
親近感が湧いた。
『…ど…うして…』
足を抱えて、顔を埋めた。
口から吐き出される言葉たちは、儚く、部屋中に散らばっていく。
眉間に皺を寄せて、
唇を噛み締めて、
苦しさを耐えていた。
辛さを耐えていた。
遥斗さんが言った言葉を思い出していた。
『諦めるな』
『運命は必ずある』
この2つの言葉が、俺を救ってくれているようだった。
『でも、無理…』
次第に込み上げてくる涙。
その涙は、頬を伝っていく。
涙を流したのはいつぶりだろう?
きっとあの時から涙を流していない。
親父と母さんが離婚をした時。
俺は寂しさのあまり、一晩中泣いていた。
今もそれと同じ。
綾音が遠くて、寂しくて、辛くて…
だから涙が流れたんだ。
─…泣きたくなったら、空を見上げろよ…─