かけがえのないキミへ


いつもの三日月は、空が笑っているように見えるのに、どこか寂しそうだった。
もしかしたら、星の姿がないからかな。
だから、寂しいのかもしれない。


キミは一向に口を開いてくれない。
キミの声が聞きたいのに、下を向いて、足をぶらぶらとしている。



俺はキミの肩を叩いて、こう質問をした。



『キミの名前はなんて言うの?教えて?』



キミは悲しい瞳を浮かべ、アスファルトに視線を落とした。


聞いちゃ、まずかった?


すると下に置いてあったカバンを持ち上げ、カバンから何かを探し出していた。


俺はその光景をじっと見つめる。


キミが取り出したのはピンク色の携帯電話だった。


『え?』



俺は思わず声に出てしまう。
キミは携帯を開き、指を動かした。
なにかを打っているみたいだ。


そして打ち終わったのか、キミは俺に携帯を差し出した。


そこには、こう書かれていたんだ。



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