かけがえのないキミへ
~11.素直なままに~
俺の好きな人は、誰よりも優しくて、
俺の好きな人は、誰よりも心が傷ついている。
だけど俺はその人を好きで、愛していて、守りたいと、幸せにしたいと思ったんだ。
『怜君なら出来そうね?綾音を幸せにすること』
母親は俺を優しく微笑みながら見てこう言った。俺は何も言わずにただ、にっこりと笑う。
カーテンの隙間から、雲の間から顔を出した太陽の光が、部屋にすっと差し込んできた。
俺の進む道のよう。
『おばさん…違うか…、お母さんだよな…』
頭を掻きながら照れくさそうに言うと、母親は、口に手を当てて笑っていた。
頬をピンク色に染まらせて、綾音と同じような頬の色をして─…
『私のこと、お母さんと思ってくれるのね?ありがとう、嬉しいわ』
『親父さ、すげぇだらしねぇけど、前にこう言ってたんだ。大事な人が出来たって。幸せになってよ。親父とさ』