かけがえのないキミへ
『ありがとう、怜君。
じゃあ…また会う日まで』
『俺がお母さんの前に笑顔の綾音を連れていくからさ、待っててよ』
お母さんは綾音とそっくりな笑顔を見せて、部屋から出て行った。
香水の匂いを漂わして、愛しい人の母親は、消えて行った。
『…俺が幸せにする…』
誓うよ、この空に。
少しずつ見え始めた星たちを見上げながら、俺は誓う。
素直になります。
愛している人を愛します。
迷いません。
後悔しません。
綾音を幸せにします…
俺は視線を落として、綾音の部屋のドアを見つめた。
部屋からは物音すら聞こえてこない。
綾音は何をしているのかな?と思い、綾音の部屋に近づいていく。
『綾音?』
外から中へと呼びかけるが、綾音の応答はない。ドアノブに手を掛けて、部屋を開けようとするが、鍵が掛かっていた。
綾音は一人ぼっちで何を考えているの?