かけがえのないキミへ
その文字を見た俺は、一瞬なにがなんだか分からなくなってしまった。
《声出ないの》
携帯に映し出された文字はこれだけ。
俺は目を丸くして、その文字を凝視する。
『…えっ…?』
言葉が喉に詰まって、上手く言えない。
どういうことだ?
するとキミは再び携帯で文字を打った。
《喋れないの》
『喋れない…?』
俺が聞くとキミは俺を見て小さく頷いた。
《昔から喋れないの》
なんで?なんて聞けなかった。
聞いたりなんかしたら、キミが可哀想に思えるから。
《びっくりした?》
俺はこの文字を見た瞬間、頷いた。
するとキミは微笑み、携帯を閉じた。
どくん、どくん。と心臓は元気よく弾んでいる。
それはキミから驚くようなことを聞いたから?
いや、絶対違うな。
こんなにも心臓がうるさいのは、やっぱりキミだから。