かけがえのないキミへ


なんて幸せな夢なのだろう、と浸っていたら、俺は宙を舞った。
くるりと半回転し、俺の上にタオルケットがばさっとかぶさった。
タオルケットを退かして、辺りを見渡すと、いつもより天井が高い。


『へ…?』


どうやら俺はベッドから落ちたようだ。
18となるいい男が、ベッドから落ちるとか有り得ないだろう。

俺はそんな自分に半笑いし、体を起こした。


『バカじゃねぇ…俺…』


ベッドにもたれ掛かって、首を回した。
そして息を吐く。
その息は溜め息か、幸せの溜め息か、自分でも分からない。



ねぇ、俺は幸せになれると思いますか?

遠回りをして、素直になれなくて、だけど好きで…
都合がいいと思うに違いないだろう。


だけど素直になるのは時間が掛かるんだ。
沢山の時間が必要なんだ。
俺は時間をかけすぎた。もう昔に答えが出ていたのに、ちっとも前に進まなかった。



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