かけがえのないキミへ
樹里の発言の意味がよく分からなかった。
お前はなにを言ってるんだ?という表情を見せて、樹里を凝視する。
夏が近づいている季節の中、俺は理解の出来ない頭を持って、ただ立ち尽くしていた。
『は…?意味わかんねぇ…』
一度視線をアスファルトに落として、そして髪の毛の間から再び樹里を睨んだ。
『お前、何者?』
樹里は顔色ひとつ変えないで、門にもたれ掛かった。
『さぁ?何者でしょう?』
そんなくだらない冗談はいらない。
一体お前はなにものなんだ?
『…言えよ』
『梨花から聞きなさいよ。早く教室に行ったら?』
樹里はこう俺の質問を流していく。
俺のイライラは募るばかり。
眉間に皺を寄せて、手に拳を作った。
樹里の顔を見ていると妙に腹が立つ。
『ちっとも教室に来ないから、あたしが来ちゃった』