かけがえのないキミへ
目を大きく見開いて、怪しく笑う梨花を見下ろした。
『な…んで…』
『なんでって、怜の気持ちを知るためじゃない』
俺の気持ち?
梨花は俺の気持ち、知ってたのか?
綾音が好きだって…
じゃあ何で抱いてなどと媚びるんだよ…
俺は立っていることで精一杯だった。
『4人で遊んだときあるじゃない?あの時思ったの。怜は綾音ちゃんが好きだって…綾音ちゃんに向ける怜の顔に書いてあったわ、好きだって』
額から滴り落ちる汗。
だけどその汗はどこか冷たくて─…俺は好きじゃない。
『あたしね?綾音ちゃんを知りたくて、だから樹里を綾音ちゃんの学校に入れさせたのよ。樹里はパパのアメリカの会社の部下よ』
この言葉と同時に樹里に視線を向けると、樹里は舌を出して、ピースを作った。
『なんで…そんなことまでするんだよ』
『分からない?怜が好きだからよ』