かけがえのないキミへ
梨花といる今でさえ、綾音のことが気になってしまう。
俺はカッターシャツから梨花の手を離した。
『もう嘘をつきたくない。本気で好きなんだ。綾音を…』
大粒の涙が、次々と梨花の瞳から零れ落ちる。
もしこれが綾音だったら、その涙にキスをして優しく抱きしめるのに…
梨花にはそんなこと出来なかった。
ただその涙が流れていくのを見つめることしか出来なかった。
『じゃあ…なんであたしと付き合ったりするのよ…!!断ればいいでしょ…!』
『だってそれは…梨花は俺の大事な友達だから』
だから断れなかったんだ。
いつも俺の傍で楽しそうな梨花を見ていたから。そんな梨花を俺はどこかで憧れていたのかもしれない。
『友達…?』
『そう、大事な友達。傷つけたくなかったけど…結局傷つけちゃったな…』
俺は地面に散らばった写真を一枚拾った。