かけがえのないキミへ


梨花も綾音も、笑顔が一番だ。
俺はそう思うよ。


『梨花!!幸せになってな!!』


『当たり前じゃない。幸せになってやるわよ!』


俺さ、本当はビクビクしてたんだ。
もしかしたら梨花は納得してくれないんじゃないかって。
でも梨花は納得してくれた。
俺が悪いのに、最後は笑顔になってくれた。

ありがとう…
そして、ごめん…


『梨花、怜は優しいじゃない。身を引くことも大事よ?』


すると隣で静かに俺たちの会話を聞いていた樹里が梨花の肩に手を置いた。


『怜もごめんなさいね?迷惑かけちゃったみたいで。安心して?もう現れないから』


『…おう』


『じゃあ梨花、あたしはアメリカに帰るわ。旦那と子供いるしね』


樹里はこう言って、スキップをしながら俺たちの前から姿を消した。


『樹里って何歳なんだ…?』



最後に疑問を抱いたまま、俺と梨花の偽りの恋人は、終わった─…



だけど俺にはまだやることがある。


お前に話があるんだ、
竜也─…



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