かけがえのないキミへ
鮮やかな色をした黄色い向日葵たちが、元気よくゆらゆらと揺れだしそうな感覚になる。
不思議だ。
雅くんが尊敬するのも分かる気がする。
写真を裏に向けると、
名前が書いてあった。
『鈴木…優』
この写真を撮った人。
きっとこの写真と出会えたのも運命なんだ。
俺は運命を信じる─…
大きく頷いて、走り出した。
俺たちの住む家へと。
この写真、綾音にも見て欲しいな。
息を切らしながら、俺はマンションに入る。
そしてエレベーターに乗り、部屋を目指す。
次第に笑みが零れるのが分かる。
そして自分の部屋の階へと着き、鍵穴に鍵を差して、靴を無造作に脱いで部屋の中へと入っていった。
『綾音…!』
いるわけないのに名前を呼んでしまった俺が馬鹿みたいだ。
部屋の中は不気味なほど静かで…気味が悪かった。