かけがえのないキミへ


いつも学校へ行っている間はこうなのだろうか?

俺は一歩一歩、リビングに向かう。
そこで見たものは…
信じられないものだった。


ひらひらと俺の手から離れていく向日葵の写真。先ほどとは違う意味の涙。
ホワイトボードに書かれていた悲しい文字たち。

『な…んで…』


やっと迎えにいけるのに。
やっと幸せに出来るのに…


《怜、ごめんね。あたしの過去聞いたでしょ?あたし…辛かった。だけど怜に会えて、あたしに笑顔が増えた気がするの。怜…あなたにこれ以上迷惑をかけられません。勝手でごめんね…
最後まで本当の気持ち言えなかった…こんなあたしを許して… 綾音》


信じたくない。
こんなの嘘だ…


俺は綾音の部屋を急いだ。
ドアに手を掛けると鍵はかかっておらず、すぐに開けることが出来た。


『綾音!!』


部屋の中には綾音の姿がなかった。
ベッドもカバンも家具も携帯もそのままだった。

キミはどこにいるの?

本当の気持ち…聞かせてよ。

俺…幸せにするから…

笑顔が見たいんだ…
迷惑なんかじゃないよ…


キミを迎えに来たのに、キミはもうこの部屋には居なかった─…




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