かけがえのないキミへ


やっと迎えに行けると思ったのに…

どうして?

俺の中が勢いをつけて崩れていく。
綾音は…どこ?
学校?
学校なわけがない。
カバンがここにあるから。

じゃあどこに?

俺は頭をフル回転させる。
だけど動揺しているせいか、なにも思い浮かばない。


『…なんで…』


不意に零れる涙。
その涙は、綾音の部屋の床にぽたりと落ちた。
立つことが出来なくなった俺は、その場にしゃがみ込んでしまう。

体を小さく丸めて、
声を出して泣いた─…


迷惑なんかじゃないよ…なんでそう思うの?

俺さ…
綾音の辛い過去を聞いても、幻滅なんてしなかったよ?
むしろ…守ってあげたいって…思ったのに…


キミのところに行きたい。
どうかお願いします─…

綾音のところへ…
行かせてください。

抱きしめさせてください。

震える体を、俺が包み込むから…


どうか…どうか…



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