かけがえのないキミへ


どこにいるのか、
なにを考えているのか。

今の俺じゃ無理だよ…


《怜、どうした?》


『俺…わかんねぇ…綾音のいる場所…』


頭を掻きながら、俺は弱音を吐く。
一刻でも綾音を見つけたいのに、それができないでいる俺。

小さい人間だな…


《なに言ってるんだ。早く見つけに行け!怜なら分かるはずだ。綾音ちゃんは怜が迎えに来てくれるのを待っているはずだぞ?》


『だけど…』


俺は目に涙を溜めて、窓の方に視線を向けた。
今日も空は真っ青で。
綾音もこの空を見てるのかな?


《…愛してる人を見つけたんだろ?早く行きなさい》


なぜこんな俺を勇気づけてくれるの?

なぜこんな俺の背中を押してくれるの?


俺はみんなになにもしてあげられないのに。

どうして?


『俺…親父の気持ち、やっと分かった。大切にしたい気持ち。今なら分かるよ…』



なぁ親父?
今あなたは笑ってるだろ?



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