かけがえのないキミへ


『やっと分かったのか』と思いながら、笑ってくれてるんだろ?

ごめん、俺バカだから時間がかかるんだ。
だから素直になるまで沢山時間を使ったんだ。

ごめん…ごめんね─…



《分かってくれてありがとうな。大切なら守り抜け。もう離さないって…その人のこと強く抱きしめろ!》


『…おう、任せろ!』


俺は空を見上げながら、小さく微笑んだ。
キミを守り抜くよ。
キミを抱きしめるから、待ってて─…



俺は立ち上がり、勢いよく綾音の部屋から飛び出した。
ホワイトボードをちらっと見て、頷く。


『…じゃあな…親父。幸せになれよ』


《怜もな。辛い思いばかりさせてごめんな》



エレベーターのボタンを強く押して、親父の話に耳を傾ける。
視線を下に向けて、エレベーターが来るのを待っていた。


『俺さ、昔親父のこと恨んでた。だけど今、そんな気持ちねぇんだ。綾音に出逢って変わったんだ。俺…幸せだよ』



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