かけがえのないキミへ
やっぱりここにいたんだ。
捜したよ、キミを…
俺は綾音を安心させるように笑顔を作った。
『綾音、帰ろ?』
こう言って、綾音の手を握ろうとした瞬間、綾音は俺から避け、首を横に振った。
『え…帰りたくないの?』
綾音の行動に俺の心は傷を負う。
なんで帰りたくないの?
『どうして?俺が…嫌?』
恐る恐る質問をすると綾音は黙ったまま。
なにも言ってくれないの?
綾音はいつもそうだ。
綾音がなにも言ってくれないから、俺は伝えられないんだ。
『どうしてなにも言ってくれないの?俺は…俺は…綾音の気持ちが知りたいのに。本当の気持ちってなに?教えてよ…』
次々と飛び出す綾音を責める言葉。
俺知りたいんだ。
知りたいだよ─…
綾音の気持ち…
声に出さなくていいから、キミから聞きたいんだ。
『俺は綾音が好きなのに。大好きなのに…』