かけがえのないキミへ


大きなドアを開けて、俺は暗闇の中を走って行った。


梨花の家から大分離れたところで、握りしめていた携帯をようやく開いた。


《本当だね★また会えたらいいね》



この文字を見た瞬間、俺は空を見上げて拳を上げた。



『やっった!!』


空には三日月が丁度雲に隠れていて、空は真っ暗になっていた。


俺は恋には不器用だという真実を、全く知らなかったんだ──…



疲れた体を引きずりながら、俺は家路を急ぐ。
辺りは本当に真っ暗で人影なんてないに等しい。

高層マンション、いわゆる俺の家が、無駄に明るかった。


17階まで行くのにしんどいときが時々ある。
エレベーターで17階を目指している最中、俺は街を見下ろした。



この街のどこかに綾音はいるのかな?

綾音はどこに住んでいるの?



綾音は、俺に隠していることがあるだろう…


きっと──……



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