かけがえのないキミへ


簡単にシャワーを浴びて梨花の香水の匂いをとる。
女と寝たあとにいつも体を念入りに洗う。
ゼロにしたいから。
体を合わせたことを、ゼロにしたいから…


下着姿のまま部屋を歩き、グレー色の冷蔵庫からなにか食べ物を探す。
だが見事に冷蔵庫は空の状態だ。
俺は肩をがっくりと落とし、冷凍庫から冷凍食品を取り出して、袋を無造作に開けた。


取り出しものは冷凍のタラコスパゲティ。
それを温めて、遅い夕食を一人で食べた。


ただ無駄に広い部屋に、ぽつんといるのは、後悔の塊でできた俺のみ。


変な構図。って言って笑うだろ?


俺もそう思うよ。
変な構図だってさ。


食べ終わった食器を洗い、元にあった場所に片付けた。


丁度その頃、髪の毛は半乾きの状態。
俺はドライヤーにコンセントを挿し、髪の毛を乾かした。


携帯は、全く陽気な音楽を奏でない…。




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