かけがえのないキミへ
~3.ヒトのモノ~


次、目が覚めたのは、あれから二時間程経ってからだった。
口の中に、ブラックコーヒーの苦さが残っていた。
深く、寝られなかった。なぜならば、あの手紙のことが頭から離れなくて…嫌なことに、夢の中にまでも出てきた。


俺は黒いスエットを脱ぎ捨て、制服に身を包む。
髪の毛をいつものようにセットし、ソファーに裏返しになって放置されていた携帯を持つ。

携帯を見ると、メールをお知らせする、黄色いランプがパカパカと一定の速度で光っていた。



『誰ぇ?』



俺は欠伸をしながら、メールを見ていく。


《お前早く学校来いよ!竜也》


竜也からのメールを俺は目を通すだけで、返事は返さない。


《早く会いたいよ★梨花》


もう一件は、昨日から俺を彼氏と呼ぶ、梨花からだった。

このメールも竜也と同様、同じことをする。




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