かけがえのないキミへ
駅に着いたのは、18時を少し回った頃だった。
駅には沢山の学生やサラリーマンで溢れている。
俺は息を整えて、駅前の時計台の近くにあるベンチに視線を向けた。
『…いた…』
キミがいた─…
またキミは一人でシャボン玉を飛ばしていた。
艶やかで真っ黒な長い髪の毛。
白いセーラー服がとても可愛い。
空を見上げて、茜色に染まった空に、透明なシャボン玉を飛ばしていた。
キミはなんていう名前なの?
俺は遠くからキミを見つめていた。
周りにはこんなにも沢山の人達がいるのに、目にとまるのはキミだけ。
話しかけたいけど、
そんなこと出来なくて…
キミをしばらく見つめて、家に帰るのが毎日の日課なんだ。
キミは俺が見てるの、気づいてないだろ?
キミの瞳は、どこか悲しそうで、いつも何かを考えているようだった…