かけがえのないキミへ
綾音を見ると、黒い綺麗な髪が、少しだけうねっている。
俺の前髪と一緒だ。
前に会った時と何も変わらない。
あの日より可愛さが増している。
綾音を見ると、やはり心臓がきゅんとなり、小刻みに暴れだす。
ね、この気持ちはなに?
『この子が彼女…』
すると綾音が携帯を取り出し、竜也に見せた。
『ん?なに?…え?怜に会ったことあるって?』
こう竜也は綾音が打っただろう文字を見て口に出した。
焦りだす俺。
竜也に俺が前、綾音に話しかけたなどと知られたくない。
『…あ、そういえば、前に会った気がする。俺が携帯落とした時に拾ってくれたんだよね』
とっさに出た、下手な嘘。
綾音は俺の発言を聞いた瞬間、疑問をもったような顔をしていた。
竜也には秘密にしておく。
だって、そんなことを聞いた竜也は、いい気分にはならないだろ?