ふたりりさいたる−先生へ−


家にかえると
鍵がまたあいていた


‥また母さんいんの?


中に入ってもどこも電気は
ついていなかった

リビングまでてさぐりで
電気のスイッチを探す


ぱっと電気がつくと
ソファーに母さんが
だらーんと腰かけていた



顔が前をむいているのに
目はどこをむいているかわからない


‥母さん?



「は‥早かったんだね。‥どーした」

「人殺しやねぇ。愛美は」


心臓がとくん、ととんだ

リビングの入口のドアに
立ち尽くしたまま動けない


「え‥」

「お母さんねえ。なぁんか思い出したの。愛美のためにお父さんとお姉ちゃんが死んだって。」


母さんはこっちをむかない
口だけが動く

こわい
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