ふたりりさいたる−先生へ−


何も喋れない


母さんがふっと笑い
また話し出す


「母さんなぁんもしらずに帰ってくると思ってたわ。愛美から見たらさぞかし哀れだっただろーね」

「違う!!‥そんなんじゃない」


声がふるえる


母さんがくるっと首をまわし私の方をみる


まっすぐに

ただただ冷たい目で


「どうしてお父さんとお姉ちゃんなの?どうして愛美じゃないの?」

「かぁ‥さん」

「愛美でよかったのに」


ぷつっ

と私の中で何かがきれた


怖くて怖くて怖くて

靴も履かずに家を飛び出した
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