ふたりりさいたる−先生へ−


「だめ。素直に出しとき」

「‥はー‥」


抵抗するのもうざいしガキっぽいし
ピアスを耳たぶ2個だけとって
浅野に渡した


軟膏もついてたけどそれは中学の
友達とお揃いだから隠しといた


「明日からちゃんとしときなさい。あっ!名前なんて」

「神田」


歩きながら話をさえぎって
名前を言った

そして私はそのまま帰った


まじなんなの
ピアスとるか?うぜー


帰りの電車も
ずっとイライラしてた


駅につくころ携帯が鳴った

ゆみから電話だ


『もしぃ?まなぁ?今どこ?』

「もしもし?もーすぐ駅つく」

『‥なんかあったん?声コワイ!』

「浅野にピアスとられた。まじうぜー新任がしゃしゃんなっつの!」

『まじ?浅野ってうちらの担任?』

「うん。ちょーうざい!あ、でなんの用事やったあ?」

『あぁ‥うち今学校ついたからまだおるかなーと思ったんやけど‥いないならいーや!浅野とやらに気をつけます!ならね〜ん』


電話を切る時には
もう駅について家にむかってた


にしても浅野‥まじうざい‥
あーあ
2年もやなスタートだな


そう思いながらいつもの帰り道を歩く


ガチャッ

「ただいま〜」


家に帰ると平日の昼間だし
仕事で母さんはいなく
無機質な時計の針の音だけが
洋風のリビングに響く


部屋に鞄を置いて
部屋着に着替え仏間に向かう

慣れた手つきでローソクと
お線香に火をつけて手をあわせる


「‥ただいま。お父さんお姉ちゃん」



眠たくなって自分の部屋のベッドに潜った
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