狼クン達のオリの中③【完】
でも――…


確かに、薫なら…


影でいろいろ動いてくれるのもうなずける。


なんだかんだ言って、いつも一番優しいのは、口も態度もムカつく、くそガキの薫だから。


薫の頭を手放したあたしに、薫は舌を突き出した。


「べ――っだ。
本当の本当は。
お姉ちゃんがぺちゃんこになるまで、徹底的に涼兄にフラれちゃえ――って、思ってるよ?」


「…」


「だって、そうすれば――…。
お姉ちゃんは、今度こそ、ボクのもの~♪」


そんな憎たらしいことを言ってあたしに抱きつくのも。


――薫の優しさ。

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