狼クン達のオリの中③【完】
「それを着たお姉ちゃんを、襲ってあげようとしたのに~」


「…」


「ガオ――って」


薫は顔の横に両手をあげて、あたしに噛み付く真似をした。


「…っ」


寄るな。
触るな。
近寄るな。


わなわな震えながら後ずさりをするあたしの腕を、ふかふかの毛布みたいな手触りの着ぐるみに包まれた薫の手が撫で上げる。


「ほら、お姉ちゃん。
もう、普通のじゃ、刺激がないでしょ?」


――いえ、別に。
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